2013年11月26日火曜日

在中日本人108人のそれでも私たちが中国に住む理由

第1章 あのデモがあった日
第2章 それでも「日本」が要る!
第3章 暮らしのなかの「島」問題
第4章 日中の誤解を生むもの
第5章 「反日」下のビジネス
第6章 国境を超え伝える
第7章 隣人との未来へ




悪化する日中関係のさなかにおいて、中国に住む日本人は日々友人や家族から安否を気遣われている。日本のメディアを通してみる反日としての中国は、攻撃的で破壊的であるようにしか映らない。

しかしながら現地に住む日本人によれば、日本のメディアで報じられているほど危険な状態ではなく、またすべての中国人が日本嫌いなわけではなく、親日的な人たちも少なからずいるとのことだ。

本書ではそのような現地の人達の声をまとめた本である。

本を読むについて、日本人と接触したことがなく、反日教育の影響でただ当然のように日本を嫌っている中国の現状が窺えてくる。そのため、わずか数分の日本人との交流で、急に友好的な態度に改める者も少なくないようであり、そのような記述が随所に描かれている。実態を知らないからこそ、盲目的に嫌うことが出来るのであろう。

確かに、私自身を思い返して中国に大してマイナスなイメージを持っていないのは、日本で知り合った多くの中国人留学生のおかげである。彼ら彼女らが非常に友好的で、なんら日本人と変わらず付き合えることを知っているし、今でも同じ職場で仕事をしているおかげで、日本のメディアの報道を客観的に受け止められているといえる。

そう考えると、国レベルではなく、個人レベルでの日中交流は、決して絶やしては行けないのかもしれない。ここまで関係が悪化すると実現自体のハードルも高くなるが、だからこそ、最低限のできることとして人と人との交友は絶えないことを願いたい。

一方でそうは言うものの、日本人というだけでタクシーの乗車拒否をしたり、安全確保の名目のためとはいえ、有事には公共の場で日本語を使うのをやめるように警察から指示されるなど、冷静に考えれば異様な事態である。本書の中の人物はどなたも淡々と受け止めている様子だが、部外者の私には侮辱にも程があるように感じる。もはや反日は中国にとって文化や条件反射にさえ感じられ、関係改善は相当路が険しいと感じた。

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