2016年12月31日土曜日

2017年を論じた本まとめ

2016年末ということで、2017年を論じてる本を何冊か読んでみた。

はじめの3つは経済・政治に着眼点をおいて書いた本で、最後のは技術トレンドだけに絞った本。

ちょっと毛色が違う最後の本だけ除いて、はじめの3つだけ横断的にコメントしてみると、IT技術としてはAI、IOT、VR・AR・MRが来て、世界情勢的には選挙を控えたヨーロッパでポピュリズムの波が来るぞ、という聞き飽きた話をカバーしながらそれぞれちょっとずつ独自色を出している様子。



2017年 日本はこうなる


話題は多岐に渡っているが一つ一つの掘り下げが甘い。
表面的な説明と根拠のない展望が記載されているだけという印象が拭えない。
例えば、ロボット開発の項目では、政府が「ロボット新戦略」を打ち出していること、それを受けて自治体が動き出していること、そして公と民が連携する必要があることしか記述されていなく、肩透かしを食らった印象がある。

VRの項目では、最後に「本稿では紹介しきれないほど、VRは進化を遂げている」と述べられているので、そもそもあまり深く伝えようとする意図が本書にはないのかもしれない。

日頃から新聞やネットニュースに目を通している方であれば、あえて本書を読んで得るものはないだろう。

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経済がわかる 論点50 2017



三菱UFJリサーチ&コンサルティングの「2017年 日本はこうなる」はトレンドをカバーすることを意識しすぎて表面的になっていたのに対し、本書は「論点」に着眼したために、昨今の変化を見据えて本質的に考えなければいけないこと、これから情報をフォローしていかなければいけないことを得るのに最適であった。それぞれ、きちんと資料と出処が引用されていて、論理に信頼感がある。

2017年末にも、本書の翌年度版をぜひ読みたい

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日本の論点2017~18 

大前研一が論点と考えることについて、更に彼独自の観点から見解が述べられていて非常に読み応えがあった。
類書と類似のテーマは多いが、イタリアから日本が学べることや、台湾と中国の関係、ミャンマーの政治事情などそもそも情報源としても他ではあまり聞いたことがない話が多く、彼の情報網の厚さに唸らされる。

類書では「経済がわかる 論点50 2017」などもあるが、こちらでは執筆者一覧としてズラリ数十人の名前が記載されているが、それに匹敵する書籍を一人で書き上げられる実力は流石といったところだ。

日本の論点とあるが、後半ではドイツ・イタリア・中国・台湾・ミャンマーなど国外の論点についても論じられている。
実質「世界の論点」について語られているので、タイトルは無駄に小さくしてしまった印象。




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日経テクノロジー展望2017 世界を変える100の技術


昨今で技術といって話題を集めるのはITであるが、それだけにとどまらず土木や医療の最先端技術をまとめて紹介しているのが興味深かった。産業をまたいだ変化の潮流を俯瞰するには良書であろう。

少々残念だったのは、最後の対談であろうか。
日経テクノロジー、ITPro、日経コンストラクション、日経バイオテクの編集長を集めたという豪華メンバーであるが、地位に見合わず話している内容が普通すぎる。この技術を使ったら、未来はこうなるよね、みたいな話をしているが、その程度の話はいくらでも聞いたことがある。ちょっと腕のあるブロガーでももっと面白い洞察を語れただろう。日本企業によくある自分で考えることを放棄した管理職の話を聞いているようだった。


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